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むらさきのスカートの女


文

「むらさきのスカートの女」

芥川賞を受賞してから
電子書籍の無料試し読み
で読んでみた
7ページくらいの導入部分にかなり
引きつけられー

本を買おうとなったのだけど
本屋さんに文芸春秋があり、この号には全文が掲載されてて、値段もこっちの方が安い。
しかも芥川賞の選考委員の7人の選評も
載ってるので
それもじっくり読みたくて本ではなくこっちを購入!



平易な文章で難しい言葉も全く出てこないしすっと読めるのだけど
読み終わってみると
解釈が難しい

「わたし」が観察を続ける「むらさきのスカートの女」のことを
読者もその社会的不適合者のような彼女のことを
~大丈夫かしらね、この人~
と「わたし」と同じ目線でずっと覗き見の感覚で
読み進めていくが

そのうち
ヘンな人!と思う対象が変わっていく
人物への興味も「むらさきのスカートの女」から
「わたし」に変わっていき
その変化は静かな表現ながら不思議な迫力というのか
作者の筆力は見事だぁと・・・


淡々としたユーモアがあってそのセンスも高くしばしば笑わせられ
そして心がざわざわする。
冒頭からは予想もつかない着地点におどろき、
ミステリーでもないのに謎が深まる


読み終わっても、
あーこういうことだったのかというのが明確にわからず、
感動というラストとも全然違う

芥川賞選考委員の先生方の評価を
読んで、益々わからなくなりこの作品のこと
このぶっとんだ女二人のこと(本当に二人?
ほんとは一人?)と
ずっと考えています(笑)

最終的には異質と感じていた「むらさきのスカートの女」は
ごく普通の女だった
異質と思っていたのは、「わたし」の目を通しての
偏見や願望だったのだと
同時にそれは自分自身の心の歪みにつながっているのだと
そんなことも感じながら・・・


いずれにしても、
面白いから読んでみて
そう言いたくなる小説です。


同じ今村夏子さんの他の本も読んでみよう~

ゴロデラ課題図書 劇場

「ゴロデラ」
今週は 又吉さんの「劇場」でした。

読み終わったばかりだったので、ウンウンと思いながら見ました。
ネタバレありですよ~

こんなに主人公を嫌いになったり好きになったりする小説もあまりないって
と いう吾郎さんの言葉にまったく同感で。

「共感されにくい主人公を書きたかった」と いう又吉さん
なるほど。そうでしたか
吾郎ちゃんもそれが仕掛けなのかなと言ってましたが、まさに。

主人公の彼女の友達だったら絶対そんな男やめとけって言うだろうし
親だったら間違いなく別れて欲しいと思うような男だからな~

恋愛小説と言われていて
また帯の文章を読むと
なんだか男女の甘酸っぱいお話を想像される人いるかもしれませんが
だいぶ違いますからね~


沙希のお母さんからの小包のシーン
私も二人の性格を如実に表していて印象に残る箇所でしたが
そこを吾郎ちゃんと外山さんが朗読してくれましたね。

まだあの先があるんだけど、なんなの、この男!って思ったよね<`ヘ´>

沙希は読んだ人、皆が思ういい子で
男性にとっては理想的とも言えそうで
こんな子いるんかい!って思うけど
でも実際美人で聡明なのにどうして、って思うくらいのクズを好きに
なるって実際にはありますから。

これ映像化される時は女優さん選びは大変そう~


吾郎さんは読みやすかったと言ってましたが
先日の徹子の部屋で又吉さんがゲストの時には
徹子さんは
これよっぽど本が好きじゃないと続けて読むのは・・・・
サマセットモームの「人間の絆」の次くらいに読むのが大変だったとか。
小さい頃から本だけは好きなだけ買っていいという家庭に育った徹子さんが
そうおっしゃる。
でも最後は「泣きました!」と

文体が長いのはわざとでしょうが、確かに
簡単にはわからせないぞ!みたいなところはあったかなー
でも読むのが大変とはまったく思わずどんど先が気になって
一気に読みましたけど。


ラスト
二人でやった舞台の思い出の脚本を懐かしく声に出して読むうちに、
「そんなセリフ書いてないよ」
「セリフ間違ってるよ」 と
台本に書かれていない二人の今の気持ちが台詞になっていくところが
なんともたまらなかった

そこまでがきつかったから
切ないんだけど
一気に浄化されていくような・・・・そんな終わりだと感じました。

おめでとうございます

芥川賞
「火花」
気にはしてましたが、絶対ないと思ってました

話題作はほとんど受賞を逃してること
話題作は、審査員もさらに厳しく読むということ・・・・
「火花」はオーソドックスすぎるということ

初めてのノミネートだし、
もしもあるとしたら W受賞の一人だろうと思ってましたが
本当に、獲っちゃいましたね
山田詠美さんは「最初の投票の時点で、又吉さんが最も高い得票だった。読むと、どうしても書かざるを得ない切実なものが迫ってくる。主人公と先輩の間の、まさに火花が散るような関係が良く書けている」と講評したそうです


羽田圭介さんも おめでとうございます!


選考委員の先生は どなたがなさってるのか調べてみたら

他にもいるんですが
特に小川洋子 宮本輝、 高樹のぶ子 川上弘美は 
特に大好きな作家さんで!
宮本輝ばっかり読んでる時期もあったのよ

こういう方々に選ばれたことも 嬉しい。

該当者なしだった年の審査員の方々の 辛辣なその理由を読んだことがあり、
わぁ厳しいと思った記憶があって。
その人達に
どんな風に「火花」が読まれたのか、とても興味があります。
選評を楽しみにします

賞獲ってもとらなくても、「火花」はそばにおいて
何度も繰り返し読みたくなる、もう大好きな小説です。

神谷と徳永
芸人の先輩と後輩
二人が熱中して、語って、疲れて挫折して笑って泣いて
呆れて・・・・愛して。

神谷
何でもつきつめる人で危険と隣り合わせで
器用に生きられない、どうしようもない人間・・・・

神谷になりたい又吉さんもいてそれを否定したい又吉さんもいるんだと思う

真樹さんについては 又吉さんの理想の女性かな
「誰が何と言おうと彼女から美しさを剥がせるものは絶対にいない」
真樹さんのくだりは
思いが溢れた祈りのような文章だと思う
あの文章だけで、泣けます

「東京には全員他人の夜がある」
社会から見過されていく人間や
不器用にしか生きられない
ダメなやつでも今を必死にいきているすべての人に
又吉さんの温かさが感じられるそんな小説でした

でも、今も 純文学という、くくりがよくわからなんだけど!
「火花」はまともすぎるし、読みやすいし面白いから。

若い頃に読んだ 純文学はわけがわからないものも結構あったので・・・・